『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉』

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

読了。村上春樹っていうのは、純文学的に日常を自分の感性で切り取り、表現する作家なのだとばかり思っていたら違った。この『世界の……』は物語である。壁に囲まれた街に住むことになった僕と計算士である私が終わりに近づくにつれ、謎が解かれ、リンクする。相変わらず強烈なオチというものは無いけれど、物語の随所が笑えてよかった。春樹小説の中では『ノルウェイの森』に続いて2番目かな。
最近、色々と読んでいるけれど作家に惚れ込むということがない。今一番困るのは「好きな作家は誰ですか?」と聞かれることだ。前は乙一だったり上遠野浩平なんかが好きでよく人に勧めたりしたけれど、ここの所それがない。見解だったり読書フィールドが広がった証拠なのかもしれないけれど、寂しいことである。