村上春樹の生原稿が流出しているらしい。

 16ページにおよぶ村上さんの寄稿「ある編集者の生と死」によると、流出した原稿は複数あり、ネットのオークションにかけられたり古書店で売られたりしている。例えばフィッツジェラルド作「氷の宮殿」の翻訳は、400字詰め原稿用紙73枚で100万円を超す値段で古書店に出ていたという。

フィッツジェラルドといえば、グレート・ギャッツビーが有名な、失われた世代を代表する作家の一人である。この『氷の宮殿』という作品は短篇集『マイ・ロスト・シティー』に含まれている。それが100万円らしい。なんだか高いとも安いとも思えないが、価値があるようだ。

村上さんは1988年の「ダンス・ダンス・ダンス」でワープロに切り替えるまでは、すべての原稿を万年筆で書いていたという。

なんと20年前の生原稿だという。もはや骨董品である。それにしても、あの村上春樹でさえタイピングでモノを書いているなんて知らなかった。せっかく書いた文章がフリーズで飛んだりして、気が狂いそうになった経験はあるのだろうか。考えるとおもしろいや。