ショートショートの広場〈15〉
- 作者: 阿刀田高
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/02
- メディア: 文庫
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今回はハズレが多かった。アマチュアなのだから筆力がないのは許せるけれど、構成(設定)が弱いものが多くて、がっかりさせられる。あえて挙げるなら『反省文』である。ラストのここぞ!というところで誤字をすればいいものを、みえみえすぎる。それと『タイムカプセル』。最後まで読んで悲しくなった。ヤマもなければ、オチもない。読者に「読んで損した」と思わせたら失敗ではないだろうか。
そんな中、読み応えのあるものが数点あった。
- 『魔法のランプ』
神様、悪魔、ランプの精などが「願えを叶えましょう」って類のストーリーは飽和もいいところで、どんなに捻ってもどこかで既に書かれているものが多い。が、しかし。今回のものはそれを逆手に取ったアンチテーゼであり、論理も整っているので感心した。
- 『白ヤギさんからのお手紙』
最後の一文がすべての作品。余計なものは一切ない。ここまで削れば筆力なんて関係ないかも。
- 『告知』
読みやすいオチだけど、読後に少しだけ思考を持っていかれた。やはり「俺の遺伝子は息子に受け継がれて」という伏線がよく効いている。妻の答えがどっちにしても、主人公は不幸になる……悲しいね。
- 『異物混入』
この巻でのピカイチ。会話ものは当たりが多い。
「さっき食べたおにぎりに蟻が入ってたんだ」
「ホント? まさかこれには入ってないわよね。あ、なにか硬いものが……」
「まさか、それ指輪……? うわ、人の指じゃないか!」
「キャーッ! うそ、ダイヤの指輪なんて嬉しい!」
みたいなオチもオーケー。「いやいやそっちかよ!」みたいな。
- 『チキン』
最後の一文で怖さ倍増。いろいろ想像させられる。
- 『駆除』
アイディアの勝利。確かに人類は滅亡するかも。
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