久しぶりの乙一

とるこ日記がやっと書籍化するらしい。web上の注が士郎正宗のマンガみたいに邪魔くさくて死にそうだったから本として読めるのは嬉しい。定金伸治の明らかに受け狙いな文章が冷めたビールみたいだけれど、どうぞ読んでみて。
それと新刊として『銃とチョコレート』(講談社ミステリーランド)が5月に発売するそう。アンソロジーとか雑誌に短編が載ってたりするけれど、もう面倒だから一挙にまとめてはくれないだろうか。

話は変わって、なんか世間では乙一山田悠介はミステリー界きっての新進気鋭作家だと言われてるらしい。だけど、そんな馬鹿な!そりゃあ山田悠介だってあれだけ本を出してるなら文章はマシになったと思う。けれどなんだろうな、いまだに「山田の作品が好き」、それも「文体が好き」とか言っちゃってる方がいることには驚いた。もうね、間違った日本語を文体とか言わないでほしい。そんなわけで以下は山田悠介のオリジナリティー溢れる文体の数々である。

「二人が向かった先は地元で有名なスーパーに足を踏み入れた」
「騒々しく騒いでいる」
「最後の大きな大会では見事全国大会に優勝」
「愛を探すしかほかないのだ」
「佐藤さんを捕まえるべく鬼の数である」
「ランニング状態で足を止めた」
「遠く離れると横浜の巨大な遊園地ができた」
「三人は分かち合うように抱き合った」
「営々と逃げ続けた」
「いざ、着地してみるとそこは森の様な草むらに二人は降り立っていた」
「一人の鬼が瞳の奥に飛び込んだ」
「永遠と続く赤いじゅうたん」
「この話は人々の間とともに長く受け継がれていく」

まさかこんなにあるとは。まだ読んでない人は改訂版の幻冬舎文庫じゃなくて、文芸社の方を読んでみてね。きっと三回くらい壁に投げつけたくなる衝動に駆られるよ!