ダウンタウンの松本が今田から聞いた話、それが元ネタ。*1

マンションに帰ってきたA子は、明日も撮影で朝が早いことを思い出し、ため息をついた。
エレベーターのボタンを押すと、上からすべるようにエレベーターが降りてきて、ゆっくりと停まる。ふと見ると、男が乗っているではないか。深くキャップをかぶり、壁によりかかっている。なんだか、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。
「すみません」
A子は警戒しながら乗り込み、自室のある階のボタンを押した。エレベーターは上昇する。男は黙ったまま俯いて微動だにしない。
軽快な音が鳴り、扉がゆっくりと開いた。まだ降りる階ではなかった。背後にいた男が歩き出す。すれ違う際、肩が接触した。
「すみません」
またA子が謝る。男は黙ったまま廊下を歩いていった。


気味の悪いやつにはあったが、何事もなく自室へと戻ってきた。しかし、着替えるとき違和感に気づく。首を捻り肩口を見ると、血がついているではないか。もちろん彼女のものではない。A子は戦慄した。


数日後、撮影の仕度で忙しい朝に、マンションのチャイムが鳴らされた。小さなのぞき窓から外をうかがうと、警察官が一人立っていた。
「A子さんはいらっしゃいますか? 実は、先日このマンションで殺人事件があったんです。あなた、あやしい人物を目撃していませんか」
ドアを隔てて警官が言った。A子はあの男のことだろうと確信すると、そっけなくドア越しに答える。
「いいえ、知りません」
とにかく面倒はごめんだった。一分一秒を争う忙しさなのだ。
警官はひとこと、「そうですか」と言うと、ドアの前から立ち去った。


次の日、家に帰ったA子はテレビを付けた。ニュースが流れている。それは彼女のマンションの殺人事件の速報だった。反射的にボリュームを上げる。やっぱり本当だったんだ。
「その男はすでに殺人の疑いで逮捕されており……」
A子がほっと胸を撫で下ろした。もう怖い思いをすることはないだろう。テレビ画面には犯人の名前と顔写真が映し出されている。
途端に、A子の顔が凍りつく。彼女の耳には、もうアナウンサーの声は入ってこなかった。


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*1:30分で書いたSS。明日はSPIのテストだっていうのに、なにやってんだか。これだけお粗末な文章だと、そんな怖くない。