本屋のレジを打ってるとき、女性の客がきた。同い年ぐらいで、服装はおしゃれなほうだったと思う。僕がいつもどおり、伏し目がちに「いらっしゃいませー」と言ったら、その娘がニコって笑って品物を差し出してきた。たまには愛想の良い客もいるもんだな、と思ってよく顔を見たら*1、咲くように笑ってた。ほんと、比喩とかじゃ表現しきれないけど、まるでキラキラって春の日が暖かいのを喜んでる花みたいに微笑んでた。
ドギマギしながら品物を渡して、「ありがとうございました」って言ったら、また彼女が可愛らしくニッコリ。本日二回目。それから、ちょっとだけ頭を下げて帰っていった。
最初、「ああ、惚れたなこりゃ。ひとめ惚れだ」と思ったけど、よく考えたら憧れのほうが大きかった。なんでかって、見ず知らずのたまにしか行かない本屋の冴えない店員相手に、あれほど素敵な笑顔を見せられる彼女の心的な健康状態が羨ましかった。それに対して、自分は常に伏し目がちで、笑顔を作っても、どこかぎこちない。素直に負けた気がした。
僕は接客業のバイトをかけもちしてるけど、最近は笑顔を作る気も起きない。スマイルしてなくても、一緒に働いている人からなんとも言われない*2し、それ以上に自分が楽だから、もうずいぶん営業スマイルさえしていない。久しぶりに深く考えさせられた。
きっとこれを読んだ人の約半数は、その彼女がキャラ作ってるとか、ぶりっこだとか思うだろう。けれど、実際、彼女が心の中に黒いものを持っていようがいまいが、そんなことは関係ない。人を幸せにさせられる笑顔を持っている。それだけで、素晴らしいことなんじゃないだろうか。
きっと、あんな風に笑えたら、人生楽しいんだろうなぁ……なんて。 


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*1:手元はちゃんとレジ打ってたよ

*2:暗いイメージ・堅いイメージは持たれているだろうけども