006

新聞を読むようになりました。二ヶ月くらい読んで、やっとおもしろさがわかってきました。
特に若者向けの記事で考えさせられます。


先日、「準ひきこもり」という言葉があることを知りました。大学の中に居場所がなく、講義を
受けたら直帰するような一見真面目な学生のことを指します。
それで考えてみたら、私の周りにも何人か、そういう何を考えているのかさっぱりな人のことを
思い出しました。その人は誰にも近寄って行かないし、誰も寄って来て欲しくないようでした。
予想ですがお昼に忽然と姿を消すのでたぶんランチメイト症候群なのだと思います。
冗談ですけどね。


ある時、気になって話しかけてみると案外普通でした。どもることなく答えてきました。


「週末は何してんの?」「寝てるかな」
「バイトは?」「前やってたけど」
「家にネットある?」「ない」
「趣味は?」「映画が好きかな」
「どんな?」「いろいろ」
「じゃあ、ずっと部屋にいるんだ」「そう、だね」
「ふーん」


あまりにも広げないので、私のことが嫌いなのかとも思いました。質問攻めするんですもの、
嫌ですよね。でも、それはそれとして、いたって普通の印象を受けました。ただ個性がない
かなと思ったくらいです。この時ほどプロファイリングを勉強しておけばよかったと思う
瞬間はありませんでした。


ただ、気がついたのは話すときに彼が人を見下して喋ることでした。
「お前に俺の個人的なこと喋るか」って感じでね。


速水敏彦 の「他人を見下す若者たち」という本に「仮想的有能感」という言葉があります。
今の若い人は他人を見下して、自分のプライドを傷つけないようにすることだそうです。
自分はだめなんかじゃなくて、やればできる人間だ。他人にきびしいけど自分に甘い。周りの
人間を「バカばっかり」だと思う。そんなふうに考えている人がいたら、仮想的有能感になって
いないかどうか、一度考えてみる必要があるかもしれません。


きっと彼が社会にでたら、いじめられるでしょう。運のいいことに、大学にはほとんどいじめが
ありません。サークルやゼミなどに所属しなければ、人と接する機会を避けることができるから
です。いじめは一定時間人と一緒にいることで起きます。彼を見ていて、自分も危ういなと感じ
た今日この頃でした。