皇居外苑に行ってきた。辛酸なめ子がセレブ気取りでジョギングしていたらパパラッチしてやるつもりだった。
それにしても異国からの旅人が多いこと多いこと。みんな観光客なのだろうか。綺麗に刈り取られている芝生に寝転んで旅を満喫している。日本人もちらほらいて、寝転んで平日の午後をゆったりと過ごしているようだが様になっていない。なんだか無理に寛いでいるみたいに見える。落ち着かないのならやめればいいのに。僕も真似してみる。いたたまれなくなり、すぐに退散。やはり難易度が高かった。
敷き詰められた砂利の軟らかさを足に感じながら内堀に行くと、周りはコンクリートジャングルだと気がつく。東京タワーや警視庁が見える。空は晴れ渡っており、東京にこんな広い場所ががあったのかと感慨がわく。何十人という規模のおばさん団体客が二重橋をバックに写真を撮っていた。おばさんたち楽しそう。バイトの帰りとはいえ、ひとりできたことに後悔した。
二重橋(皇居の正門)には警備さんというか近衛兵というか、とにかくそのような方がいて、ビシッと前方を見据えたまま微動だにしない。グレーの制服が眩しい。僕はここへ来る何十分か前まで、サインを持って1時間半誘導の仕事をしてきた後だったから、彼らを見て少しの優越感に浸ってしまった。ごめんなさい。
何度か「看板もち」を経験したが、やはりただ立っているのは辛いものだ。ボーっとすることができない性格の僕なんかは向いていない。あの二人の近衛兵は考え事をするのだろうか。彼女の可愛らしい癖を思い出したり、昨日の夕飯を思い出そうとしたり、父の日のプレゼントを考えたりするのだろうか。
帰りに初々しいカップルとすれ違った。二人とも大学生くらい。彼女の手をひいて彼氏嬉しそう。外苑でデートだなんて羨ましいな。仲良くやりなよ、だなんて余計なことを思う。久々にのんびりと午後を過ごすことができた。