電子出版という新しい手立てを友として、私たちは〈青空の本〉を作ろうと思います。
 青空の本を集めた、〈青空文庫〉を育てようと考えています。

 青空の本は、読む人にお金や資格を求めません。
 いつも空にいて、そこであなたの視線を待っています。
 誰も拒まない、穏やかでそれでいて豊かな本の数々を、私たちは青空文庫に集めたいと思うのです。
青空文庫の提案より)

太宰治とか、芥川龍之介の小説を読もうかと思い立ったら、まず青空文庫に行きます。だいたいそんなときは、ゆっくり読書がしたいわけではなく、蜘蛛の糸の最後がどうなったかだとか、藪の中がどうやら凄いという話を聞いて、調べることが目的の時です。かなり便利でお金もかからないので助かっています。今回、青空文庫が図書館へ「青空文庫 全」というDVDを寄贈するそうです。

青空文庫、収録作品6500点を収めたDVD-ROMを8000の図書館に寄贈 | 日経 xTECH(クロステック)

これで読書人口が増えるのならいいなあ、と思ったのですがなんだか裏があるような気がして不安になってきました。以前、三田誠広著作権の延長を訴える記事を読んだことがあります。確か延長することで作家のモチベーションをあがるという論点だったと思います。それに対する批判は強く、要は金が欲しいんだろという直球なものや、期間が長くなると広く読まれなくなるのではという意見がありました。
僕個人としては、三田誠広の『ぼくって何』を読んで感銘を受けたので延長側につきたかったのですが、どうもお金の匂いがするので、はっきり言及できずにいました。

著作権保護期間の延長、経済学的には「損」 「毒入りのケーキ」が再創造を阻む (1/2) - ITmedia NEWS

そして、今日上記リンク先の記事を読んで、ちょっと恥らいながら「欧米かっ!」と突っ込まずにはいられませんでした。ちょっと的が外れていることには気づいているのですが、どんだけ日本を欧米化したいのかと、言いたかった。
著作者の気持ちもわかります。本当にモチベーションがあがるのなら、長くしたらいいとも思います。ですが、それ以前に、どうも利用者そっちのけで利権争いにやっきになっているような気がしてなりません。まず、読者(ユーザー)あってのものだと考えるのは、間違いなのでしょうか。