ファザーファッカー (文春文庫)

ファザーファッカー (文春文庫)

マンガ以外にはじめて内田春菊の小説を読みました。自伝小説で彼女の文芸における代表作のようです。筋書きは15歳の時養父に性的虐待を受け、16歳で家出するまでの、家庭と自分にまつわる話でした。
感想としては、とにかく後読感が最悪でした。なにか逃げ場がなくなるような怖さがありました。こういった内容の小説だとわかっていたら、夜眠れないからと言って手をつけなかったです。
トリイ・ヘイデンの『シーラという子』なんかを読んだ人ならわかるだろうけど、理不尽な怒りがこみ上げてくる箇所があるのです。どこに怒りをぶつけていいやらで、こんな作品を書くやつは最低だ!と作者の術中にはまってしまいました。
読者を狂わせるような本に嫌悪感を抱くと同時に魅力を感じるのは一体なんなのでしょうか。もう二度と読みたくないですが、きっとまた読んでしまうと思います。そんな魅力がある作品です。